そのプロダクトに「”決定的な”一つの買う理由」はあるか?

そのプロダクトに「”決定的な”一つの買う理由」はあるか?

2024/05/31

こんにちは、Kyoです。

近頃、新規事業系のプロジェクトに関わることが多く、よく考えていることがあります。 それは、そのプロダクトやサービスに「”決定的な”一つの買う理由」はあるか?ということです。

色んな製品で溢れるこの時代です、やはり勝ち抜くためには「深くブッ刺さる強烈な何か」が必要です。この「深くブッ刺さる強烈な何か」を少し丁寧に言い直して「”決定的な”一つの買う理由」と僕は呼んでいます。巷ではカッコよく「コアバリュー」と呼ばれています。

本エントリでは僕が素晴らしいと感じているプロダクト、サントリーの「天然水スパークリング(公式ホームページ)」を例に「”決定的な”一つの買う理由」の話をしたいと思います。

天然水スパークリング
天然水スパークリング

どうでもいい話しですが、僕はこの商品をとてもよく飲んでいます。 今でも週に数本、オフィスの自販機に入っていたメルカリ社在籍時代は毎日2本ずつくらい飲んでいました。もうかれこれ7年くらい飲み続けています(発売当初は「南アルプススパークリング」という商品名でした)。

「”決定的な”一つの買う理由」にこだわる

僕にとってこの商品を買う決定的な一つの理由は「これまでになかった炭酸の強さと粒感」です。 個人的な感覚で説明すると、同じ強炭酸でもコーラは小粒の泡がすごいのに対して、天然水スパークリングは大粒の泡がすごい!みたいな感じです。 のどごしが気持ちよく、スカッとするので気に入ってます。(それでいて無糖だし、0kcal)

開発した方も炭酸の強さや大粒感をコアバリューにしていたと推測するのですが、この商品は大粒の強炭酸を実現するために驚くべき部分をトレードオフにしています。

それが開栓時のふき出し、です。

そう、炭酸のペットボトルを振ったあとに開けるとブワーッてなるあれです。 この商品、発売当初はかなりの確率で開栓時にふき出していました。どう気をつけて開けてもふき出す、そんなレベルでした。 発売から数年間はキャップにもデカデカと「開栓時ふき出し注意」と書かれていました。 (ちなみに最近ではふき出しはかなり改良され、キャップの表記も小さくなりました)

当時のキャップデザイン
当時のキャップデザイン

元来、炭酸飲料を開けるときにふき出す、というのは"残念なユーザー体験"のひとつだったはずです。 きっと多くの炭酸飲料がそうならないように開発されてきたことでしょう。

しかし、天然水スパークリングは最大のUXである大粒の強炭酸を実現するため、たとえ毎度ふき出したとしても、そこは仕方ないと大胆に割り切っていたわけです。

実際に私は毎度ふき出そうとも「炭酸が強い」それだけの理由で買っていました。 ちなみに僕は会社で毎度ふき出されては困るので、開けた瞬間に閉めて、ちょっと落ち着いてからもう一度開ける、という手法を取っていました。 でもそんなネガを吹き飛ばすくらいたった一つの魅力が勝るのです。これがコアバリューです。

買わない理由を削る作業をしていないか?

この「”決定的な”一つの買う理由」が確立できていないまま、買わない理由を削る作業をしていないでしょうか? 先ほどの例でいえば、開栓時のふき出しは買わない理由になる可能性がありますが、最初からここを守りに行こうとしていたら、きっと炭酸が弱くなり、その他大勢の商品の中に埋もれてしまっていたでしょう。 まず、「”決定的な”一つの買う理由」、すなわち買わざるを得ない圧倒的な引力を確立し、買わない理由はその後で改善すればいいのです。 実際に天然水スパークリングは7年くらいかけながらも、あまりふき出さなくなりました。

おわり

天然水スパークリングくらい攻めるのはなかなか難しいかもしれませんが、今一度自分のプロダクトを見て「”決定的な”一つの買う理由」がちゃんとはあるか?は問うていきたいですね。

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